最高最大の明治維新史
総合索引付きで完全復刻!
修訂 防長回天史
末松謙澄・著
全12冊+総合索引の全13巻
平成3年刊

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内容見本
【PDFファイル】

(各冊ケースに入っております)

復刻に際して
■『防長回天史』を読まずして明治維新を語ることはできません。透徹した史観により、天保期から廃藩置県までを客観的に叙述した「維新全史」として、あるいは、国政の動向から長州海軍所の日課規則、京都公家の夕食献立に至る、あらゆる重要記録を網羅した「史料の宝庫」として、研究者の座右に不可欠の名著です。

■本書はこれまで二社から復刻されていますが、いずれも4頁を1頁に詰め込んだ「縮刷版」で、文字が小さすぎて読みにくいのが欠点でした。縮刷版を買ったばかりに、本書が「つんどく」になっている例は、枚挙にいとまがありません。

■このたびは本書の刊行七十周年を記念し、初めて原本通りの大きさ、装丁で「完全復刻」されます。雄渾簡潔な文体にふさわしく、大きく読みやすい活字、書き込みの自由な余白、格調高い造本など、長年の熟読玩味に耐えるかたちで復活するわけです。

■正誤表に至るまで原本通りの「完全復刻」ですが、本を長持ちさせるため、一冊ごとのケースを新しくつけます。

■今回復刻のもう一つの目玉は、左記の通り、元・山口県文書館の田村哲夫氏による新しい「総合索引」が別巻としてつくことです。また第一巻の冒頭には、北海道大学教授・田中彰氏による書き下しの「解説」および、著者の一族、玉江彦太郎氏による「若き日の末松謙澄」を新しくつけ加えます。
総合索引について

▼本書は、索引作りの鬼才・田村哲夫氏が小社の要望に応じ、心血を注いで独力で作成した画期的な索引です。

▼『防長回天史」全12巻中の全項目を網羅した本書は、人名・地名はもとより、政治・教育・財政・事件名なども多く、すぐれた「藩政用語集」ともなっています。

▼人名・地名・一般項目は分類せず一つにまとめましたが、書誌名・諸隊名・艦船名・外語名の四部門だけは、利用の便を計ってそれぞれ別項に分類しました。

▼この案引によリ『防長回天史』は刊行70年目にして初めて真価を明らかにし、その利用価値は飛躍的に高まるものと思われます。

『防長回天史』の再刊を喜ぶ
奈良本辰也

明治維新は、わが国の歴史に於て、最も意味の深い大変事であった。それは、三百年もつづいた封建社会を新しい資本主義の社会に変えると同時に、植民地化が進んでいた当時のアジアの国々のなかで、只一つの独立国として残すという壮挙をも成し遂げたのである。

だから、維新史を考えるということは、わが国の現在を語るについても、多くの教訓を得ることになる。しかし、その維新史をどこから切ってゆくかと問われるならば、わたくしは『防長回天史』全12巻を読むことをすすめる。

回天史は、長州藩を中心にして書かれた幕末より明治の初年に至る時代の風雲を、しっかりとした史眼でとらえた素晴しい本だ。毛利家には、厖大な維新史の史料があり、それを解読しながら、その家史を編纂するということは、かなり以前から行われていたようだ。

そのなかの一人に中原邦平氏のようなすぐれた歴史家もいた。しかし、この本は、中原氏のように長州藩の藩士によらないで、末松謙澄氏のような他国の士を中心にして出来あがっている。

しかも、その下にあつめられたのは山路愛山・笹川臨風・堺枯川・黒田甲子郎・斉藤清太郎等、今聞いても、すぐにうなずける程の錚々たる人物達だった。史眼も文章も、第一級の文筆家であったと見てよい。末松が此本の編纂に携ったのは明治30年だったが、その全部12巻を完成して、世に問うことができたのは、大正9年6月のことだった。

着手以来23年の歳月を過し、夜を日についでの大事業だった。末松は、自らが長州藩と戦って小倉の出身である身を此大事業に投じたのは、「史家の心血をそそぐに足る」と確信したからだと言っている。彼及びその助手の者達が全て他藩人であることを、史家の客観性を保証することにでもなると言っている。そしてあくまでも史料に基づいての叙述に全力をそそいだとも言っている。

私も、維新史家の一人として、この末松の言葉を快く引き受けるものである。今回、長い間手に入れることの出来なかった回天史の全巻がそのまま復刊されるという。私は、今日まで、その全冊を幾度となく利用してきた。ために背表紙も禿げ落ち、綴じ系もばらばらになっっている。「韋編三たび絶つ」である。復刊を待つことしきりである。
(本書刊行時のパンフレットより)